生産者紹介:『あすみ農園』/村上明日実さん

村上 明日美(むらかみ・あすみ)

 1986年に山口県宇部市に生まれる。東京農業大学卒業後に都内の食品流通商社に就職し、食の流通についての知見を得る。2013年5月に大分県別府市に移住、新規就農を行い5年間農業を行う。現在の拠点を構えている九重町野倉集落へは2018年5月に移住。農業のほか里山を生かした教育ツアーの企画等を行い、集落の維持を目指している。

 里山体験を通して

農業に関する取材を続けているとどうしても作物の話に注目しがちになってしまうが、その周囲には人の営みや大自然が広がっているということを忘れてはいけない。雨は作物への恵みになるし、イノシシは畑を荒らす害となる。農家の方々はそうした自然との折り合いをつけながら作物を作っている。そうした人と自然の営みが共存をする場所を「里山」と呼んでもいいかもしれない。

 これは、これまで何百年何千年と農耕を行う人々にとっては当然のことである。しかし現代において、人々は都市というシェルターに守られているお陰で自然のことなど考えなくてもよいようになった。しかし、だからといって自然に触れずに生きているのも不健康な気がするし、何より触れたほうが、心が豊かになるような気がする。

あすみ農園の村上さんは自分が住む集落とその周りにある自然を生かして、子供たちに教育を施そうという試みを行っている。出身地の宇部というところは太平洋ベルトの真っ只中に位置する工業地帯で、村上さんはコンクリートジャングルの中で育った。そのため自然の中に触れるということがないままに育ち、子供たちには自然の中でのびのびと育ってほしいという思いを持つこととなった。

 実際に里山体験を行い、12人の参加を成功させている。自然を知らない子供たちを遊ばせて、土や草、木々と触れ合う体験を与えてあげたい。コンクリートの中で生きてきた村上さんならではの発想だ。子供たちは野菜を取ったり川遊びをしたりして、自然を満喫したらしい。どれも野菜がどう生っているかも知らない都会の子供たちだ。その体験はきっと新鮮だったことだろう。

 活動を行う理由はもう一つある。それは、今住む集落の魅力を、里山体験を通じて伝えることだ。現在村上さんが住む野倉集落は人口が22人で高齢化率が70%を超える。好きになったのになくなるのは悔しいし、必死で守ろうと思う。農業を通して集落が誰かにとって必要とされる場所であり続けてほしい。だから里山体験を通して魅力を発信し続ける。

 教育と集落の維持。それが村上さんの軸だ。農業だけにとらわれない、農業を通した教育活動によって、集落に新たな風を呼び込んでいく。

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OSPのライティング担当。文章は仕事でもあり楽しみでもあると思っている。趣味はバイオリンの演奏とアニメの視聴。最近モテるために椎名林檎を練習し始めたが効果を確認できたことはない。