生産者紹介:『呼吸する村』/米沢邦英さん・小野英昭さん

『庄内呼吸する村』
 大分県由布市庄内地区に位置する。2018年7月より、次世代を担う子供を育成する寺子屋やコミュニティづくりを目指し、まずは無農薬かつ化学肥料を使用しない野菜やコメを栽培している。今回はその中心を担っている米沢邦英さんと小野英昭さんにお話を伺った。

人間にあった生き方を模索する

 私たちの世界は文明によって支えられている。森で小動物を追っかける必要もなければ、せっせと畑で鍬をふるう必要もない。そのようにできているからである。今の日本も都市生活者がほとんどで、この瞬間に石油やら電気やらが消え去ったら生活能力を失ってしまう人がほとんどだ。ただ現状暮らしていけるため、野菜の作り方を一から学ぼうとする人は都市生活者全体から見ると極めて少ない。

 しかし、現代はあまりにも便利になりすぎた弊害が各所で表れている。豊富な食品添加物によって発生するといわれている化学アレルギーの存在は言うまでもないことである。また効率化を求めすぎるあまり働く社員がやりがいを感じなくなったり、高いノルマが課せられてストレスを抱え、自ら命を絶ったりしてしまう人も少なくない。資本主義の倫理で競争社会化した学校は偏差値という数字で価値判断された子供たちがワギリにされて成績別に分類されている。この傾向は最近まで高校からだったが、どうやら中学入試というものが流行っているらしい。

 そんな現状に異を唱えるのがこの二人だ。米沢さんと小澤さんは庄内の村で農業を通じ、新しいコミュニティの在り方を作ろうとしている。名前は『呼吸する村』。躍動する大地の中から、地面に地の付いた生き方を知ろうというものだ。文明に頼り過ぎず地力に従った野菜を作り、それをコミュニティのメンバーで共有する。メンバーみんなで、自然と生きるということを学んでいく。

 空を見れば鳥が飛び、地面を蛙が跳ね、草木は萌え、そこにたくさんの虫たちが暮らしている。そんなリアルな感覚は、元来狩猟採集生活や農耕生活を送っていた人々すべてが共有しているはずで、今は都市に移って忘れているものである。こんなことは世界史上でも極めて特異な現象だ。人類が誕生してから約20万年なのに対して都市が誕生してから多く見積もっても数千年、近代化して都市が肥大化してから200年ちょっとである。

 だから、米沢さんと小澤さんが今の人々に伝えようとしていることは、ある意味、そういったことを忘れてしまった現代人の肩を叩いてあげるようなものなのかもしれない。

 野菜を作るには苦労がいること。

 作ったものを料理すると美味しいこと。

 自然の中で駆け回るのは楽しいこと。

 私たち自身も自然の中で生き、生かされているのだということ。

 ここから、ある一つのこうした考え方が生まれ、広まろうとしている。

 思想と言い換えてもいいかもしれない。

インタビュー動画

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OSPのライティング担当。文章は仕事でもあり楽しみでもあると思っている。趣味はバイオリンの演奏とアニメの視聴。最近モテるために椎名林檎を練習し始めたが効果を確認できたことはない。